日本社会の閉塞感 努力しているのに結果が伴わない

JR宝塚線脱線事故をきっかけに、運転士に対する運行時刻厳守のプレッシャーや、ミスに対する人格攻撃まがいの「指導」が話題になっている。

TV東京「ガイアの夜明け」で、中小のトラック物流企業の現状が紹介されていた。運賃低迷、高速通行料を出してもらえない、燃費向上のためわざわざ日本海側の一般道を利用、戻りの荷物が空だと赤字になるため荷物が決まるまで何日もパーキングで寝泊まり・・・

おかしい。みんなそれぞれ、自分に与えられた役割を精一杯やっているにもかかわらず、全体としてよい方向に進まないのはどうしてだろう?

TOC(制約条件の理論)を学んでいると、組織全体の中でゴールのさらなる達成を「制約」しているものは1つ(あるいはきわめて少ない数)しかないという。そして生産性向上・効率アップの努力をその「制約条件」に集中することと、それ以外のところには「制約条件」を効果的に活用するための余裕・余剰すら必要である。

言い換えれば、「制約条件」でないところでいくら効率アップを追求しても、成果は得られないばかりかかえって「制約条件」の活用を阻害して、得られるべき成果を失ってしまうことになる。

つまり、全体を部分部分に分けて、その部分ごとに「最適化」をしても、全体を最適化したことにはならない。

一人一人がよかれと思って精一杯努力しても、全体としては良い結果が出ないということ。

日本はアメリカ型の競争社会・成果主義社会を目指すのではなく、一人一人の努力が報われる新しい社会を築いてゆくための手がかりが TOC にはあると思う。