日航機墜落事故20年に寄せて

日航機が御巣鷹山に墜落して20年。先日来、テレビなどでいろいろな報道がなされている。特に目につくのが「相変わらず日航機のトラブルが多い。日航は何をやっているのか」という論調である。

テレビではめったに取り上げられないが、あの事故以来、日航の社員有志が、毎年この墜落忌の前に休暇を取って御巣鷹山に登り、墜落忌に遺族たちが登りやすいよう、草刈りなどをしている。私の知人で日航で整備関係の仕事をされている方も、あの事故から毎年登っている。

私は、それが社員全員ではないとしても、そのような人達がいる組織が、組織ぐるみで手を抜いたり、いい加減な仕事をできるわけがないと思う。

論理的な根拠はなく、どちらかといえば直感に過ぎないが、航空機やスペースシャトルなど、極めて多くの要素が互いに関係し合うシステムにおいて、その複雑さがある限度を超えると、個々の要素が持つ不確定性を従来のやり方ではコントロールしきれなくなるのではないか。

「(相互に依存し合う)部分部分を最適化しても、それを合わせた全体が最適にはならない」というTOCの考え方は、ここにおいてもブレークスルー/パラダイムシフトの一つの可能性となるように感じる。